大会概要

World Robot Summit 2020 福島大会
日程:2021年10月8日(金)~10日(日)※終了
場所:福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市原町区萱浜字新赤沼83番 南相馬市復興工業団地内)
主催:経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
World Robot Summit 2020 福島大会

出場結果


チーム「REL-UoA」
〈最終結果〉3位(WRS実行委員長賞)
     ※同時受賞・・・ロボット学会特別賞、審査員特別賞
〈予 選〉6チーム中、2位で予選を通過

〈出場チーム〉
  REL-UoA(会津大学)…3位
  CIT_Rescue(千葉工業大学)…1位
  Meisei University Rescue Team Japan(明星大学)
  MISORA(南相馬ロボット産業協議会)…2位
  NITRo(名古屋工業大学)
  RoDEP(九州工業大学)
  ※その他、海外からエントリーした4チームは不参加 

福島大会全チャレンジの結果

今回の大会のために開発した技術、ポイント

チームリーダー〈大学院修士1年 小川 浩明〉

私たちが開発したロボット「Spider2020」はメインクローラと4つのサブクローラ、逆運動学で制御できるアームで構成されていて、それらを3つのPCで遠隔制御しています。ロボットの高知能化を目的とし、タスクのDEX1(メーター判読/バルブ回し)ではメーターの自動読み取りとバルブの自動把持、EXP1(広域調査)では生成する地図の精度向上を新機能として開発しています。それらの開発が評価されて特別賞をいただけたのではないかと思います。また、毎週のミーティングと操作練習により操作の練度を向上したことも決勝進出、3位入賞という結果を残せた大きな要因だと思います。

昨年、私はチームのリーダーを引き継ぎました。当初は技術的な面も含めて未熟で、提携している企業様含め様々な方のご協力を頂き、何とか2度のデモ会とWorld Robot Summit大会本番を乗り越えることができました。私達のチームは学部生が多く在籍しており、それぞれのメンバーがやりたいことや課題などを抱えていたので、それぞれをどうチームに組み込むかという点で苦慮しました。はじめは各々が何をするか定まらず本番への不安が募りましたが、時間が経つにつれ全員がメンバーであることを強く自覚し、自発的に活動していくようになりました。大会終了後も皆が次の大会への意欲を示していて、この大会に出場したことがそれぞれの研究や将来に対して良い影響を与えたと感じました。私はこの大会出場の経験から自分の研究が私たちのロボットの性能向上だけでなく、社会へ深く貢献できる可能性を持ち合わせていることを再確認でき、研究への意欲が一層高まりました。また、他チームのロボットの活躍を多く確認できたことで、問題を多角的に捉え、様々なアイデアを生む土壌が出来上がったと思います。WRS2020に出場したことで自分たちのロボットの良い点、改善点などがより明確になりました。それらをどのように解決、昇華し、より性能のよいロボットに進化させていくかが、私たちSTMチームの今後の課題です。


 

参加した感想

 
〈学部3年 庄司 怜真〉

私はWRSに参加して、さまざまな経験を得ることができました。ロボットを使って、どのようにタスクをクリアしていくのか、そのタスクをクリアする為に、今のロボットにはどのような問題点があるかなどを、チームのみんなで考えて、解決策を出し合い、改良を加え大会に挑みました。
例えば、ネゴシエートというタスクに私達は苦戦しました。障害物の棒を壊さないようにコースを進んでいくこのタスクは、ロボットの大きさの問題により、最初の練習では全く進む事ができませんでした。そこで私達は、このタスクをクリアする為に、ロボットのフロント部分に付いているカメラの位置を変えたり、棒に当たってしまう腕の位置を調整するなど、さまざまな解決策を実行しました。結果として本番では、スタート地点から目標地点まで行って帰ってくる事ができました。
また、私はロボットの指に装着する指サックの製作を担当しました。元々の指に装着していたゲルは、長い期間使用しボロボロになっていたので、新しい物を作る事になったのですが、以前使っていた型が紛失してしまったので、新しい型にゲルを流し込んで作りました。しかし、最初にできたものは想定より大きく、指の開閉もまともに出来るものではありませんでした。そのため、型に粘土を敷き詰めて、ちょうど良い大きさに調整していきました。形をしっかり成形しなければ、バルブやL字棒を、力が分散して回す事ができない為、何回も型を作り直しました。最終的に、以前よりも頑丈で、物を握りやすい指サックを作る事に成功しました。今まで自分が経験しなかった事を、このWRSを通して沢山経験することができました。本当にこの大会に参加できて良かったと思います。

〈学部2年 鈴木 拓眞〉

今回WRS2020を通して、他のチームのロボットと自分たちのロボットを比較したことにより、自分たちのロボットの問題点や他チームのロボットの強みを知ることができました。例えば、他のチームのロボットよりも小回りが利かないことやスピードが遅いことがわかりました。これらは、今後の課題や卒業論文の参考になりました。もしまたこういう機会があった場合には、現在ある問題点を改善し、またよい成績をおさめたいです。

 

講評

災害対応標準性能評価チャレンジ出場チーム担当教員
准教授 中村 啓太

最終結果として、『3位(WRS実行委員長賞)』、『日本ロボット学会 特別賞』、『審査員特別賞 (研究賞)』の3つの受賞おめでとうございます。大会スコアだけでなく、学会や審判団からも評価されたのも良かったのですが、当初の目標であった「①予選全コースでの得点獲得、②決勝進出、③決勝コースで得点獲得することで、ロボットをアピールできる」を達成できたので、とても感慨深い気持ちになりました。

「World Robot Summit 2018」「ロボカップ レスキュー実機リーグ JapanOpen2019長岡」と挑戦してきましたが、今回の目標を達成するべく、様々な課題を取り組み、今回の結果を出せたのはとても立派なことだと思います。私が指示しなくても、大会中において皆さんが何をすべきが分かっていて、頼もしく感じました。大会挑戦前よりも、皆さんの目つきが競技会中違っていたと思います。

私としては、この結果がフロックだと言われないように、また応援している方を失望させないように、これからもロボット研究・開発に挑戦して欲しいと思います。色々な方が皆さんに注目しています。

最後に、Spiderの開発、および改良に携わっているアイザック様に心より御礼を申し上げます。また、この一連の競技会に一緒に挑戦してきた皆様に改めて御礼を申し上げます。過去の積み重ねが無ければ、今回挑戦すらできなかったのですから。

 

2018年大会から、全体を通して

会津大学 教授 成瀬継太郎

私たちはWRS2018年大会から災害対応ロボットの競技会に参加してきました。本稿ではそれぞれの大会で経験したことを振り返ります。

・ WRS2018年大会、インフラ・災害対応カテゴリー災害対応標準性能評価チャレンジ、2018年10月東京ビッグサイト。
はじめて災害対応ロボットの競技会に参加した。システムは純粋な遠隔操作ロボットシステムであり、操作者の操縦技術により各タスクに挑戦していった。良かったことはシステムトラブルもなく、すべてのタスクに挑戦できたことであり、学んだことはロボットの立ち上げ時間を短くすること(5分でロボットの設営と起動を行わなければならない)、改善点はロボット動作の自動化によるタスク実施の高速化であった。結果は世界大会の中で、参加19チーム中10位で惜しくも予選敗退であった。
・ RoboCup Japan Open 2019年大会、レスキュー実機リーグ、2019年8月アオーレ長岡。
前述の大会とは少し異なる競技規則であり、画像の自動認識機能を導入した。国内大会であり、結果は決勝進出、最終成績は参加12チーム中4位であった。前回の経験を生かしてロボットの運用面は改善した。次の課題はカメラ画像とロボットの動作を連携した自律動作の実現である。
・ WRS2020年大会、インフラ・災害対応カテゴリー災害対応標準性能評価チャレンジ、2021年10月福島ロボットテストフィールド。
前の大会のシステムでの遠隔操作システムに、三次元地図の生成機能とロボットアームで一部自律制御機能を追加したシステムで参加した。結果は世界大会での決勝に進出し、最終成績は参加6チーム中3位であった。

このように大会ごとに、機能を追加し、より知的なロボットシステムに進化してきました。とくに直近の大会では学生の学術研究の成果を、競技会のロボットシステムに実装し、大会で実証試験として検証するサイクルで実施できるようになっています。私たちとしては、この研究と実証のサイクルが確立できたことが、大きな成果だと認識しています。今後もこのサイクルを継続し、学術研究と実用化研究の両面からロボット分野に貢献していこうと考えています。

Photo Gallery

    

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大会の様子