過去の事業実績
2023年度 https://rtc-fukushima.jp/column/6705/
2022年度 https://rtc-fukushima.jp/column/6370/
2021年度 https://rtc-fukushima.jp/column/5474/
概 要
(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構が、大学等による浜通り市町村等、他大学等、地域企業等との恒常的な連携体制の形成や特色ある教育研究プログラムの開発・実施を支援することにより、イノベーションを生み出す高度な人材の長期的な教育・育成の基盤を構築することを目的として、2021年度から新たに「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」を開始した。
本事業は、2021年度から2025年度までの5カ年の事業となっており、大学等の継続的な教育研究活動を通じて、浜通り地域等の復興に資する人材育成及び地域貢献が期待されている。会津大学では2018年度から「復興知事業」として実施してきた”浜通りロボット人材育成事業”を発展させ、2021年度からはこの事業の採択を受け、“若手人材が輝くロボット・ICT人材育成プログラム”を開始し、様々な人材育成活動を展開している。
※会津大学の事業紹介(PDF)
※会津大学の他に採択となった、全21事業はこちら
目 的
浜通り地域等で、研究・教育機関と連携して若手のロボット・ICT人材を育成するとともに、地元企業等のロボット産業に関する取組の促進、支援を行い、技術力の向上と連携体制の強化を図る。また、地元企業のほか、浜通り地域等への進出企業とも連携し、福島ロボットテストフィールドを活用したロボット産業振興に貢献する。
活動実績

■ 大学間連携ロボット・ICT人材育成(兼TA*養成研修)
【実施期間】2024年6月22日、23日(2日間)
【対象者】会津大学、福島大学、いわきコンピュータカレッジの各学生
【内 容】演習の講師養成を目的として、プログラミング演習及び小型クローラロボット演習の指導方法について研修を実施。講師となるための教育を受けた学生が、積極的かつ丁寧に受講生のサポートを行い、ロボットやICTに関する理解を促進することができた。
*Teaching Assistantの略語。講師のアシスト、高校生の学習支援を行う。

■ ロボットシミュレータ(Choreonoid)研修
【実施期間】2024年8月30日、31日(2日間)
【対象者】会津大学、福島大学の各学生とIT関連企業の社会人
【内 容】コレオノイド開発者である株式会社コレオノイド 中岡慎一郎氏を講師にお招きして、実践的かつ高度な技術教育を展開していただいた。同時に、参加学生の技術力向上はもとより、学生間の交流とロボット関連分野の研究に関する情報共有を促進することも目的とした。
会社HP https://choreonoid.org/ja/#

■ Pythonプログラミング演習(原町高校)
【実施期間】2024年7月22日、23日、24日、12月19日、20日(5日間)
【対象者】原町高校 1・2年生 13名
【内 容】ICT技術を持った若手人材の育成を目的として、Pythonプログラミング演習を実施した。原町高校では毎年行っているプログラムなので、応用編はデータサイエンスとプロセッシング演習を交互に行っている。

■ Pythonプログラミング演習(小高産業技術高校ほか)
【実施期間】2024年8月7日、8日、22日、23日(4日間)
【対象者】小高産業技術高校ほか 8名
【内 容】ICT技術を持った若手人材の育成を目的として、Pythonプログラミング演習を実施した。南相馬市内の企業にも声がけし、IT関連の一般企業の社員も参加し、グループワークなどを取り入れた演習を行った。

■ Pythonプログラミング演習(相馬高校)
【実施期間】2024年12月3日、4日、10日、11日(4日間)
【対象者】相馬高校 普通科、理数科 1年生 123名
【内 容】ICT技術を持った若手人材の育成を目的として、Pythonプログラミング演習を実施した。昨年度から2年目の取組、1年生4クラス、各クラス4時間ずつ「情報Ⅰ」の授業完全組込みの形式で行った。

■ Pythonプログラミング演習(相馬総合高校)
【実施期間】2024年9月25日、26日、27日(3日間)
【対象者】相馬総合高校 2年生 27名
【内 容】ICT技術を持った若手人材の育成を目的として、Pythonプログラミング演習を実施した。昨年度に引き続き2年目の実施、すでにプログラミングは経験している2年生が対象。AOJ(Aizu Online Judge)を使用した演習で、多くの学生が次々の問題をクリアし早い進捗をみせた。

■ 高校生クラブ活動支援(原町高校)
【実施期間】2024年5月23日、10月4日(2日間)
【対象者】原町高校 数科学部 10名
【内 容】原町高校数科学部の生徒が進めている研究活動に対し、会津大学及び福島大学の学生が大学での研究事例の紹介や実験方法、得られたデータの整理方法、論文及び発表用スライドの構成等について助言指導を行った。大学生らによる自身の研究に関する発表もあり、進路へのアドバイスにもつながった。

■ 「総合的な探究の時間」授業における助言指導(原町高校)
【実施期間】2024年5月15日、9月10日、2025年1月22日(3日間)
【対象者】原町高校 普通科 2年生 158名
【内 容】福島大学「復興知」事業と協業し、原町高校の2年生全員を対象とした探究学習科目「総合的な探究の時間」に参加し、生徒が行っている研究活動に対し本学教員及び学生が探究課題の設定、情報収集、調査研究、発表資料作成の方法について助言指導を行った。
■ 若手人材ロボット技術演習
【実施期間】2024年7月6日・12日・13日・20日・30日・31日、9月14日・15日(8日間)
【対象者】小高産業技術高校、テクノアカデミー浜 16名
【内 容】
◎7月6日~20日 Arduinoを使用した小型クローラロボットの遠隔操作や自律移動に関する実習
◎7月30日 福島県ハイテクプラザ南相馬技術支援センターの施設設備を使用した実習
◎7月31日 南相馬市内のロボット関連企業訪問及び工場見学(インターステラテクノロジズ、Zip Infrastructure、藤倉コンポジット)
◎9月14日 ロボットシミュレータ(Choreonoid)を活用したロボット操作技術に関する演習
◎9月14日 ロボット(クローラロボットGiraffe、クローラロボットMISORA、ロボットアームxArm)及びドローンの実機を用いた操作・操縦訓練

2024年度復興知事業 各種テキスト・資料
この事業で使用したテキストは、「2024年度復興知事業 各種テキスト・資料」からダウンロード可能です。
Pythonプログラミング演習、ロボット・ICT教育の「Arduinoを活用した小型クローラロボット演習」で使用したテキスト、コレオノイド講習会のテキストを公開しています。
イベント出展・視察等対応
福島ロボットテストフィールド等で開催された複数のイベントにおいて、ミニクローラロボット及びロボットシミュレータの操作体験など、ロボット操作の実演や、本学のロボット研究、復興知事業の実施内容、南相馬ロボット産業協議会との連携等を紹介した。本来の活動では、主に高校生以上が対象となっているが、イベント出展などでは小さな子ども達にも興味をもってもらえるよう、様々なロボットを準備し体験できるよう展示を工夫した。
〈 実 績 〉
◎8月10日~11日 ふくしまSDGs未来博(ビッグパレットふくしま)
◎10月4日~5日 ロボテスフェスタ2024(福島ロボットテストフィールド)
◎11月16日 南相馬市こども未来フェスティバル(南相馬市民文化会館ゆめはっと、野馬追通り銘醸館)

分科会開催
本事業で、連携市町村を共に『南相馬市』として活動している東北大学と福島大学とは、年に3度の定例分科会を開催している。南相馬市・門馬市長への報告も兼ね、それぞれの活動状況などを共有しながら、地域の課題解決や人材育成を含めた地域の活性化に向けてどのように協働していけるかなどを検討、議論している。
会津大学は、この分科会開催において「幹事校」を務めており、開催日程はじめ会場の設定、各機関との調整まで、全ての業務を担っている。
【各大学の事業】
東北大学 「福島浜通り地域社会フィールド実証学際拠点の構築」」(PDF)
福島大学「『復興知』の総合化による食・農・ふくしま未来学の展開」(PDF)
会津大学 「若手人材が輝くロボット・ICT人材育成プログラム」(PDF)
【日程】
第1回 2024年5月16日
※第2回 2025年1月12日「地域共創分科会」と開催開催
第3回 2025年2月3日
2024年度も長崎大学との「地域共創分科会」を開催
昨年度(2023年度)に引き続き、富岡町・川内村・大熊町をフィールドにした復興知事業に取り組む長崎大学との
「地域共創分科会」を、今年度も開催した。地元高校生、会津大生・長崎大生らが参加、放射線やアルプス処理水についての専門家による講演、ワークショップからなるセミナーを開催した。(2023年度の模様
https://rtc-fukushima.jp/column/6705/)

所 感

会津大学ロボット事業プロジェクトマネージャー
特任教授 屋代 眞
会津大学は情報工学を中心とした大学で学生全員がプログラミングを学びます。2015年度からは震災後の福島県の復興創生に寄与するために福島県から支援を受け、福島イノベーション・コースト構想の重点分野のひとつであるロボットに関して、情報工学を活かした産学連携でのロボット技術に関する研究開発や産業・人材育成を進めています。また、2023年度からは福島国際研究教育機構(F-REI)の委託研究でロボットソフトウェアに関する研究も進めています。2018年度からは(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構の支援を受け「復興知事業」を開始し、南相馬市との連携協定のもと、このような研究の成果や経験を活用して、浜通りでの若手のロボット・情報技術の人材育成を進めてきました。
2019年には福島ロボットテストフィールド(RTF)の研究棟に会津大学の分室を構えRTFを活用したロボット関連の研究や教育を進めるとともに、地元の企業と一体となった研究推進や人材育成、自治体や高校との連携など地元に密着した人材育成や復興創生支援活動を進めています。
浜通りの若手人材育成を目指した会津大学の復興知事業では大学の技術や地元との連携を活かして活動を展開し、地元の若手人材育成はもとより、地元企業との連携、福島大学・東北大学・長崎大学と連携した地元での活動、大学生の参加による浜通りでの現地活動、さらに浜通りにおいて連携大学の学生が一体となって地元の高校生や地元の方々との交流を図るなど大学と浜通りの皆さまとの連携により様々な成果をあげ、今年度は延べ300名近い地元の若手、延べ150名ほどの大学生が参加する活動になりました。
今後も復興創生とともに明るい未来の創生を目指して活躍できる人材の育成に貢献していきたいと思います。