実環境における混雑状況を考慮した移動ロボットのナビゲーションシステム
こんにちは、株式会社FSKです。当社ではシミュレータChoreonoidを活用したサイバーフィジカルシステム(以下、CPS)の研究開発を行っております。
2024年度は、建物内の混雑状況を把握し、その情報を移動ロボットの経路計画へ反映するシステムをシミュレータ上で構築し、動作検証を行いました。2025年度は、シミュレータ上で開発した本システムを実機ロボットに適用し、実環境における動作検証を実施しました。また、2024年度からの課題であった広い通路(2~3m)を分割し、片側を通るなどロボットの移動可能な経路を増やすことによりロボットが長時間停止する現象が解消できるか検証しました。
図 1 混雑箇所を避けたナビゲーションのイメージ
システムの概要
従来の屋内移動ロボットは、進行方向に人がいる場合、人が避けることを前提に設計されていることが多くあります。しかし、通路の幅が狭い場合や混雑している環境では、人が自由に動けず、ロボットが立ち往生してしまうことがあります。このような課題に対し、本研究では図1に示すようにロボット自身が混雑を避ける経路を自律的に選択できるようにすることで、よりスムーズで安全な移動の実現を目指します。
図 2 実空間における混雑状況を考慮したナビゲーションシステム
本システムでは、混雑状況に応じてロボットの移動経路を動的に変更することで、衝突リスクの低減と、移動効率の向上を図ります。これにより、従来のように人がロボットを避けるのではなく、ロボットが人を自律的に回避する動作が可能となります。その結果、サービスとしての受け入れやすさや快適性の向上にもつながります。
進入禁止領域の分割による経路選択の改善
本システムでは、建物内に設置したカメラの映像から混雑状況を判定しています。物体認識AI(YOLOv8)を用いて、カメラに映る領域内の人数を計測し、一定以上の人数が存在する場合、その領域をロボットの進入禁止領域として設定します。
従来は、広い通路などを一つの領域として管理していたため、通路の一部に人が集中している場合でも、通路全体を進入禁止領域として扱っていました。その結果、ロボットが安全に通行できるスペースが残っているにもかかわらず、その通路を利用できず、遠回りの経路を選択することがありました。

図 3 領域分割前カメラ画像

図 4 領域分割前地図
そこで2025年度は、カメラ画像内の監視範囲を複数の小さな領域に分割し、それぞれの領域ごとに混雑度を判定する方式へ改良しました。これにより、人が集中している領域のみを進入禁止とし、混雑していない領域は引き続き通行可能とすることができます。

図 5 領域分割後カメラ画像

図 6 領域分割後地図
実機による検証結果
実機による実験の結果、移動ロボットは外部カメラから取得した混雑情報を利用して経路を変更し、人が集中しているエリアを回避しながら目的地まで移動できることを確認しました。
また、進入禁止領域を分割することで、ロボットが通行可能なスペースをより有効に活用できるようになり、不必要な経路変更を抑えつつ、効率的かつ安全に目的地まで移動できることを確認しました。
一方で、進入禁止領域の更新に時間かかった場合、ロボットが進入禁止となる予定の領域に進入した後に地図が更新され、進入禁止領域内にロボットがいる状態となることがありました。この状態になるとロボットは移動できなくなるため、今後は進入禁止領域からリカバリ機能によって脱出させるなどの対策が必要であると考えています。
株式会社FSK
研究開発担当:馬上