TIS株式会社(TIS)は異種複数のサービスロボットを統合的に管理し、複数の異機種ロボット同士やセンサーなどの環境、人を含めた相互連携を実現するプラットフォーム「RoboticBase」を開発しています。IoTプラットフォームであるFIWAREをベースとしており、ロボット間の連携のみならず、IoT、オープンデータ、外部システム等との連携を可能とします。(https://www.tis.co.jp/news/2018/tis_news/20181016_1.html

2018年11月、「RoboticBase」のβ版を活用し、会津大学 先端ICTラボ(LICTiA)内で「異種複数ロボットとIoT連携により来訪者を誘導案内する」実証実験を行い、プラットフォームの機能および有効性を検証しました。実証実験のシナリオは、受付ロボットが目的地を受け付け、誘導ロボットが自律移動して目的地まで誘導案内するというものです。目的地の部屋にはLEDを設置し、来訪者が近づいたらLEDを点灯してお知らせします。

実証実験は、TISが参画する一般社団法人オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)AI・ロボット分科会と会津大学と共同で実施しました。開発については、会津大学の学生が受付ロボットや自律移動する誘導ロボットに関する開発を、TISがプラットフォームやIoTに関する開発を、といった役割分担で行いました。産学連携かつ遠隔でのプロジェクトであり、分散開発にありがちなI/Fの連携漏れがあったり、結合テストのタイミングが少なくアドホックに結合できる環境を準備すべきだった、など諸々課題や改善点はありましたが、クラウド(プラットフォーム)側とエッジ(ロボットやIoT)側に明確な境界を設定し、メッセージのみで相互作用する設計としたことで各パートが独立して開発を進められました。誘導ロボットに関しては、ロボットの自己位置推定に苦戦したものの、学生の皆様の頑張りにより位置補正しながらの自律移動を実装でき、喜びもひとしおでした。

実証実験の様子は地元メディア(テレビや新聞)にも取り上げていただき、テレビをご覧になった一般の方が実証実験に参加しに来られるなど、「人とロボットの共生」に関して住民の関心も高いと感じました。

今回の実証実験をとおして、ロボット管理プラットフォームを介して異機種のロボットやIoTが連携し、容易にロボットを活用したサービスを実現できるという技術的な裏付けが取れたと共に、我々の考えているプラットフォームの開発の方向性が間違っていないことを確認できました。そして、実験参加者から頂いたご意見から、ロボットサービスを提供する際にはUI/UXに工夫が必要であることを改めて認識させられました。

ロボット単体ではできることが限られていても、複数のロボットやIoTなどを組み合わせることで、実現できるサービスの幅は広がります。少子高齢化や労働力不足といった社会課題の解決には「人とロボットが共生」する社会が不可欠であり、我々の取組がその課題解決の一助となっていくと考えています。

*実証実験の報告書はOGCホームページ(https://ogc.or.jp/)にて公開予定です。

TIS株式会社
大上 瑠里