上空から地上の状況を監視したり、橋やトンネルなどのメンテナンスを上空から行う、などの用途で、ドローンの市場が急拡大しており、最近では大小のドローンが手ごろな価格で入手できるようになってきました。しかし、長時間の飛行や地上の状況を細かく観察する必要がある場合には、撮影した画像の詳細な解析や、別途、地上での詳細な観察が必要になる場合も多くあります。

そこで、ドローンと連携するなどして地上の状況を撮影し、その映像をサーバーに転送する機能をもった虫瞰視点ロボット(ゴローン)を、会津大学の「産学ロボット技術開発支援事業」で開発しました。

2015年度は、上空から落下させて周囲の状況を撮影する無線型ゴローンV1、および溝の中などに入れて内部の状況を撮影する有線型ゴローンV1を開発しました。

2016年度は、ゴローン自体に自走機能をつけて無線制御で周囲の状況を撮影することができる無線型ゴローンV2、および有線制御距離を長くした有線型ゴローンV2を開発しました。

2017年度は、ゴローンで撮影した映像データを速覧・検索・可視化する機能と、2016年度に開発した無線型ゴローンV2からLED照明を外した無線型ゴローンV3を作り、ゴローンの置かれた環境での周囲の動きを検出して、ゴローンが反応するための動きを学習・獲得する機能と、複数台のゴローンが協調して対象を監視する機能の実現に向けた検討を進めました。

地上の状況を監視するゴローンのような虫瞰視点ロボットはドローンと連携して使用する例が報告されていますが、今回のプロジェクトで進めたような、周囲の環境に存在する動きを学習して行動を獲得していく技術や、複数のゴローンが協調して動作する技術の報告は、新しい試みと考えています。

今後、ゴローン自体をプラットフォームとして、色々な場面で利用することや、TSCDP(会津大学の研究成果)を利用した動線抽出などのソフトウェアと組合せて、さらに発展させていきたいと考えています。

(ゴローンは会津大学の登録商標です)

株式会社エヌジェーケー
遠藤 健