近年、ソフトロボティクスと呼ばれる学術領域がロボット業界に革新的な貢献をもたらすかもしれないと、期待されています。

ソフトロボットは、ロボット部品に柔軟な素材を用いることで、従来のロボティクスで使用されているアクチュエータなどの駆動系を大きく変えることなく、より複雑な振る舞いを実現できます。会津大学(ARC-Robot)では、この革新的なロボット技術であるソフトロボティクスの研究にも取り組んでいます。研究事例として、ソフトロボットの精密な動作解析、計算機による自動設計を実現するための新たなソフトロボットシミュレータの開発があります。この事例では、会津大学の秀でたコンピュータ理工学の専門知識を、機械工学、ロボット工学、シミュレーション工学の観点から導入し、ソフトロボティクスに今までにない新しい技術的躍進をもたらすことを目指しています。別の事例では、シミュレーションという仮想空間でのやりとりを、実世界にそのまま取り出すためのソフトロボットの実機開発にも挑戦しています。この事例では、水中、人への接触へ親和性の高いゲル素材、シリコン素材のロボットの素材として使用して、形状の機械学習、動力をどう与えるかについて研究を進めています。これらの技術開発は福島県内企業のみにとどまらず国内外の研究機関などとも連携して進め、その成果を幅広く世の中に伝えることで、特に災害対応、ロボットアート、メディカルケア分野などへ貢献できるような新しいソフトロボットの学際的拠点となることを目指しています。

会津大学復興支援センター
小川 純