概 要

(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構が、大学等による浜通り市町村等、他大学等、地域企業等との恒常的な連携体制の形成や特色ある教育研究プログラムの開発・実施を支援することにより、イノベーションを生み出す高度な人材の長期的な教育・育成の基盤を構築することを目的として、2021年度から新たに「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」を開始した。
本事業は、2021年度から2025年度までの5カ年の事業となっており、大学等の継続的な教育研究活動を通じて、浜通り地域等の復興に資する人材育成及び地域貢献が期待されている。
会津大学ではこの事業の採択を受け、“若手人材が輝くロボット・ICT人材育成プログラム”を開始した。

※会津大学の事業紹介(PDF
※会津大学の他に採択となった、全21事業はこちら

目 的

浜通り地域等で、研究・教育機関と連携して若手のロボット・ICT人材を育成するとともに、地元企業等のロボット産業に関する取組の促進、支援を行い、技術力の向上と連携体制の強化を図る。また、地元企業のほか、浜通り地域等への進出企業とも連携し、福島ロボットテストフィールドを活用したロボット産業振興に貢献する。

活動実績

※新型コロナウィルスの影響により、一部内容を変更して行った。

2021年7月26日(月)、30日(金)、9月21日(火)
ワールドロボットサミット(WRS*)2020参加に向けたロボット操作訓練

南相馬ロボット産業協議会のWRS2020参加チーム(MISORA)のWRS2020福島大会の参加に向けて、ロボット操作技術の指導や競技大会のルール説明等の支援を行った。RTF*の屋内試験場にWRS2020で使用する模擬コースを設置し、実機のロボットを使用してロボット操作訓練を実施した。
ワールドロボットサミット(WRS)2020は、コロナウイルスの感染拡大の影響により、2021年に延期され開催された。
※RTF=福島ロボットテストフィールド(南相馬市)

  

 

2021年8月7日(土)~8日(日)
TA養成研修

福島ロボットテストフィールド(南相馬市)にて、会津大と福島大の学生を対象としたTA養成研修を実施した。
学生12人が参加し、1日目は会津大中村准教授からプログラミング演習の指導方法などを学び、2日目は南相馬ロボット産業協議会の山崎潤一氏(タケルソフトウェア代表)から小型ロボットカーを使用したロボットプログラミングの実習内容を学んだ。
今年度から新しい取組として、会津大学の学生だけでなく福島大学の学生にもTA*として活躍していただき、高校生たちと年齢の近い大学生たちが学習支援を行うことによる学習効果の向上や、県内大学で先進的な取組みに携わる学生の姿を地元の高校生たちに見ていただくことにした。
※Teaching Assistantの略語。講師のアシスト、高校生の学習支援を行う。

  

 

2021年8月19日(木)~20日(金)、23日(月)
Pythonプログラミング演習 第1回~第3回(原町高校)

会津大畠准教授が講師となり、原町高校の生徒を対象に23名が受講した。本演習は全5回のコースで、パソコンの基本操作やプログラミングの基礎から学び、最終的にはアニメーションなどのプログラミングができるようになることを目的としている。

 

 

2021年9月11日(土)~12日(日)
若手人材ロボット技術演習
詳細ページ
小高産業技術高校、テクノアカデミー浜の学生合わせて15名が受講した。
初日は、会津大中村准教授が講師となり、ロボットシミュレータ(Choreonoid)についての解説と、シミュレータ(Choreonoid)上でのロボット操作技術の演習を実施した。
2日目は、屋内試験場に災害現場等を模したコースを設置し、実機ロボットを使用した操作訓練を行った。さらに、緩衝ネット付飛行場でドローン操縦者技能評価方法を用いた無人航空機(UAV)の操作訓練を行った。

  

 

2021年9月19日(土)~20日(日)
Pythonプログラミング演習 第1回~第2回(相馬農業高校、小高産業技術高校)

会津大渡部上級准教授が講師となり、相馬農業高校、小高産業技術高校の生徒を対象に6名が受講した。本演習は全4回のコースで、パソコンの基本操作やプログラミングの基礎から学び、最終的にはアニメーションなどのプログラミングができるようになることを目的としている。

 

 

2021年10月1日(金)
原町高校の数科学部の生徒が実施している研究活動支援

原町高校の数科学部の生徒が実施している研究活動に対し、会津大学の学生が基本的な実験方法や実験データの整理方法等について支援を実施した。

 

 

2021年11月6日(土)~7日(日)
Pythonプログラミング演習 第3回~第4回(相馬農業高校、小高産業技術高校)

会津大中村啓太准教授が講師となり、相馬農業高校、小高産業技術高校の生徒を対象に6名が受講した。最終日には閉講式を実施し、主催者から受講生に修了証書を交付するとともに、各校の代表者が感想発表を行った。

  

 

2021年11月14日(日)
若手人材ロボット技術演習

福島ロボットテストフィールド内の福島県ハイテクプラザ南相馬技術支援センターにて実施し、小高産業技術高校の生徒、テクノアカデミー浜の学生合わせて12名が受講した。センターにある最先端のロボット関連機器等を使用した実習を行った。

  

 

2021年12月2日(木)、23日(木)
Pythonプログラミング演習 第4回~第5回(原町高校)

会津大 渡部有隆上級准教授が講師となり、原町高校の生徒を対象に20名が受講した。最終日となるため演習終了後に閉講式を実施し、主催者から受講生に修了証書を交付するとともに、受講生の代表者が感想発表を行った。
「昨年も受講したが昨年よりプログラミングがスムーズにできたのでうれしかった、大学生に教えていただき交流ができたのも楽しかった。」

  

 

2021年12月4日(土)~5日(日)、11日(土)~12日(日)
若手人材ロボット技術演習
 (詳細ページ
福島ロボットテストフィールドにて実施し、小高産業技術高校の生徒、テクノアカデミー浜の学生合わせて16名が受講した。南相馬ロボット産業協議会の山崎潤一氏(タケルソフトウェア代表)が講師となり、Arduino(マイコンボード)を活用したロボット制御について学習した。受講生は、6足歩行の小型ロボットを組立て、Arduinoに組み込んだプログラムを実行し、ライントレース上で自律走行の実習を行った。

  

 

2021年12月22日(水)
若手人材ロボット技術演習

演習の一環として、地元企業が取り組んでいるロボット関連の理解を深めるため、小高産業技術高校の生徒、テクノアカデミー浜の学生合わせて11名が、株式会社菊池製作所 南相馬工場とロボコム・アンド・エフエイコム株式会社 南相馬工場を訪問し、各企業の工場を見学した。
最終日となるため閉講式を実施し、主催者から受講生に修了証書を交付するとともに、各校の代表者が感想発表を行った。

  

分科会開催

また、「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」において連携市町村を『南相馬市』として取り組む大学は他にも東北大学福島大学があり、その教育研究活動、人材育成の事業内容について定期的に発表、意見交換を行った。同分科会では、今後それぞれの活動状況などをさらに共有しながら、地域の課題解決や人材育成を含めた地域の活性化に向けてどのように協働していけるかなどを検討、議論していく。

【日程】
第1回 2021年8月3日(火)
第2回 2021年11月8日(月)※オンライン
第3回 2022年2月7日(月)※オンライン

【各大学の事業】
東北大学 「福島浜通り地域社会フィールド実証学際拠点の構築」」(PDF
福島大学「『復興知』の総合化による食・農・ふくしま未来学の展開」(PDF
会津大学 「若手人材が輝くロボット・ICT人材育成プログラム」(PDF

  

主な成果

◎若手人材のロボット・ICT技術の習得、講師育成による教育体制の充実
南相馬市・RTFを基盤とした更なる研究機関との連携、ロボット産業振興の取組の進展
◎南相馬市のロボット関連企業のロボット関連技術の向上、取組を通した連携体制の強化

2022年2月1日、アカデミア・コンソーシアムふくしまより、大学間連携功労者表彰を受賞
 

所 感

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会津大学ロボット事業プロジェクトマネージャー
特任教授 屋代 眞

福島県の未来を創造するための国家プロジェクトであるイノベーションコースト構想では、廃炉や再エネとともにロボット産業基盤の構築が柱の一つとなっています。会津大学では、ロボットに関する企業の育成や誘致などとともに地元での若手人材の育成が最重要項目の一つと位置付けて、2018年度より浜通りの南相馬に会津大学の分室を構えてロボットの研究とともに市や地元の企業と若手のロボット・ICT人材育成に取り組んできました。
南相馬の人々の人情のあつさや浜通りならではの食材や気候を味わいながら、本学の学生とともに南相馬と会津若松を行き来して、高校生など若手の人材の将来を夢見ながらプロジェクトを進めています。
同様に浜通りの復興への貢献を目指す研究機関とも協力して、南相馬を基盤にしたコミュニティをつくり、復興を超えて福島県の未来を創り出すことを目指しています。