ChoreonoidでOpenRTMプラグインを使用するとき、OpenRTM-aist 2.0が使用できるようになりました。
そこで、実際にインストールをした時に発生したエラーやつまずいた点について掲載します。

OpenRTM-aist のバージョンについて

Ubuntuで使用できるOpenRTM-aistのバージョンは、現在1.2.2が最新となっています。この最新版をインストールする場合、インストールスクリプトがそろっているため簡単にインストールができます。しかし、開発版ではOpenRTM-aist 2.0が存在します。今回は開発版をインストールした際につまずいた点を説明します。皆様の参考になれば幸いです。

OpenRTM-aist 2.0 インストール方法

使用環境は以下となります。今回は、Ubuntu 18.04 LTSのみインストールされた状態からOpenRTM-aist 2.0のインストールを行いました。
・VMware Workstation Player 14
・Ubuntu 18.04 LTS

OpenRTM-aist 2.0のインストーラは現時点(2022/1/31時点)では存在しません。そのため、利用するためには自分でソースコードをビルドする必要があります。
OpenRTM-aist 2.0のソースコードは、以下のサイトにアップロードされています。
https://github.com/OpenRTM/OpenRTM-aist
ソースコードをダウンロードしてビルドを行います。
上記のサイトにはビルドの手順は記載されておりませんが、OpenRTMの公式ページにソースコードのビルド方法が掲載されています。
・OpenRTM-aist(C++版)のCMakeによるビルド手順
https://www.openrtm.org/openrtm/ja/node/6339
このページの[Ubuntu + omniORB]の項目の方法に従ってビルドを行います。

git clone https://github.com/OpenRTM/OpenRTM-aist
cd OpenRTM-aist/
mkdir build
cd build/
cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release ..
cmake --build . --config Release -- -j$(nproc)

私が最初にこの手順でコマンドを実行してみると、1行目と5行目でgit とcmakeのコマンドが存在しないのでインストールをしてくださいとエラーが出ました。さらに、gitとcmakeのパッケージをインストール後5行目の[cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release ..]を実行すると別のエラーが出ました。
OpenRTM-aistをビルドにするには多くのライブラリを事前にインストールする必要があります。何を事前にインストールするかは「OpenRTM-aist(C++版)のCMakeによるビルド手順」のページに記載はなかったので、最初はエラー内容を確認し必要なパッケージのインストールとcmakeを繰り返し実行していました。

しかし、一括インストールスクリプトを使用することで事前に必要なパッケージをすべてインストールすることができます。これにより、上記で行ったパッケージのインストールとcmakeを繰り返し行うような煩わしい作業が必要なくなります。
・一括インストールスクリプト
https://www.openrtm.org/openrtm/ja/node/6345
一括インストールスクリプトは、LinuxでOpenRTM-aistに必要なソフトウェアを一括でインストールしてくれるスクリプトです。通常はそのまま最新のOpenRTM-aistをインストールするのですが、実行時にオプションとして[-s]を付けることでライブラリのインストールだけをしてもらえます。
以下のコマンドを実行することでスクリプトのダウンロードと実行ができます。

wget https://raw.githubusercontent.com/OpenRTM/OpenRTM-aist/master/scripts/pkg_install_ubuntu.sh
sudo sh pkg_install_ubuntu.sh -l c++ -s --yes

今までの話を整理するとOpenRTM-aist2.0をインストールするには、以下のコマンドを実行する必要があります。

wget https://raw.githubusercontent.com/OpenRTM/OpenRTM-aist/master/scripts/pkg_install_ubuntu.sh
sudo sh pkg_install_ubuntu.sh -l c++ -s –yes
git clone https://github.com/OpenRTM/OpenRTM-aist
cd OpenRTM-aist/
mkdir build
cd build/
cmake -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release ..
cmake --build . --config Release -- -j$(nproc)
sudo make install

最後の[sudo make install]はChoreonoidでOpenRTMプラグインをビルドするときに必要になります。

・おまけ(OpenRTPについて)
OpenRTPは以下のコマンドで最新版を取得できます。

sudo sh pkg_install_ubuntu.sh -l openrtp --yes

バージョンは2.0ではないのですが、OpenRTM-aist 2.0のサンプルコンポーネントをこのOpenRTPで動作させることができます。
Choreonoidと直接関係はありませんが、試してみてください。

いかがだったでしょうか。
今回掲載した内容は当たり前のところではあるのですが、気づかないとインストールに時間がかかってしまうので掲載しました。
次回はChoreonoidのOpenRTMプラグインの連携について掲載します。