今回はRaspberry Pi 3B+でUbuntu Mate 18.04を起動して、ROSを実行する方法を解説します。
1. 準備物
・PC(Windows)
・RaspberryPi一式
- Raspberry Pi 3B+
- microSDカード(32GB)
- Raspberry Pi用電源
・microSDカード用ライター
・USBキーボード、マウス
・HDMIモニタ
・HDMIケーブル
2. Ubuntu MATE 18.04 ダウンロード
PC(Windows)で以下のサイトにアクセスしてUbuntu MATE 18.04をダウンロードします。
https://releases.ubuntu-mate.org/archived/18.04/arm64/
アクセス後[ubuntu-mate-18.04.2-beta1-desktop-arm64+raspi3-ext4.img.xz]をクリックします。
ダウンロード後解凍を行います。
xzファイルは7-zipなどで解凍します。
3. イメージファイルの書き込み
Win32DiskImagerツールを使用することでイメージファイルの書き込みができます。
以下のサイトから、最新のイメージデータ書き込みツールWin32DiskImager バイナリをダウンロードします。
・Win32DiskImager: https://ja.osdn.net/projects/sfnet_win32diskimager/releases/
ダウンロードしたファイル (Win32DiskImager-x.x.x-binary.zip) を解凍し、Win32DiskImager.exeを起動します。
※Win32DiskImagerは、2バイト文字に対応していないため、ubuntu-18.04イメージファイルは途中のパス名に全角文字や空白が含まれていない場所に移動してください。
PCにmicroSDカード用ライター、MicroSDカードを差し込んでください。
「Image File」に解凍したubuntu-18.04のイメージファイル、「Device」にmicroSDカードのドライブを指定し、「Write」ボタンをクリックします。
microSDカードへの書き込みが開始されます。
本記事ではUbuntu Mate18.04を例に行っていますが、イメージファイルがあるなら他のOSの書き込みも可能です。例えばUbuntu 20.04やRaspbianのOSなどもイメージファイルをダウンロードすることで書き込みが可能です。
4. Ubuntu設定
・初期設定
Raspberry PiにHDMIモニタ、キーボード、マウスを接続します。外部デバイスの接続後、microSDカードを挿入しRaspberry Piに電源を供給します。Ubuntuが起動し各種ドライバの読み込み画面が表示された後、設定画面が表示されます。設定画面でキーボード、ネットワーク、地域、ホスト名とパスワードの設定を行います。ネットワークの設定は、有線LANを使用する場合はRaspberry Piに接続していれば設定をしなくても問題ございません。Wi-Fiを使用する場合はネットワークの設定時にSSIDとパスワードを設定します。
・SSHの設定
外部からSSHでアクセスできるように設定をします。ターミナルを起動して以下のコマンドを実行します。
sudo apt install openssh-server
sudo systemctl enable ssh
sudo systemctl start ssh
sudo dpkg-reconfigure openssh-server
SSHの設定をすることで、PCからTeraTermなどを使用して、Raspberry PiのUbuntuにアクセスできるようになります。
5. ROSのインストール
ROSをインストールする方法を説明します。インストールするROSのバージョンはmelodicです。
ROSのダウンロード先の登録を行い、公開鍵の取得を以下のコマンドで行います。
sudo sh -c 'echo "deb http://packages.ros.org/ros/ubuntu $(lsb_release -sc) main" > /etc/apt/sources.list.d/ros-latest.list'
sudo apt install curl
curl -s https://raw.githubusercontent.com/ros/rosdistro/master/ros.asc | sudo apt-key add -
ROSを以下のコマンドでインストールします。
sudo apt update
sudo apt install ros-melodic-desktop-full
[ros-melodic-desktop-full]でUbuntu 18.04で使用できるROSのフルパッケージがインストールされます。
環境によってはインストールに時間がかかります。
6. ROSの環境設定
ROSを使用する上で,ターミナルを利用することが多くなります。開発を行いやすくするために,以下のように環境変数の設定をします。
cd
echo "source /opt/ros/melodic/setup.bash" >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
“source /opt/ros/melodic/setup.bash”を”.bashrc”に追記することで、ターミナルを開いたときに自動でROSを使用できるようになります。
ROSでもパッケージをインストールするためにパッケージマネージャがあります。
パッケージマネージャはROSを便利に利用するための機能であるため、以下のコマンドでインストールします。
sudo apt install python-rosinstall python-catkin-tools python-rosdep
ROSの初期設定を行います。
sudo rosdep init
rosdep update
ROSのプログラムを作成するためのワークスペースを作成します。
mkdir -p ~/catkin_ws/src
cd ~/catkin_ws
catkin build
source devel/setup.bash
echo "source ~/catkin_ws/devel/setup.bash" >> ~/.bashrc
インストールが問題なくできていることを確認するために、以下のコマンドを実行します。
roscore
roscoreが正常に起動できればインストールは完了になります。
いかがでしたでしょうか。
Raspberry PiにUbuntuをインストールし、ROSのインストールまで行っている記事は少なかったので掲載してみました。皆様のお役に立てばと思います。
次回はRaspberry Piと仮想環境でのROSの通信について説明します。