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第8回会津大学ロボットシンポジウム 開催のお知らせ 

日 時:2023年6月9日(金曜日)13時30分~15時30分
場 所:会津大学先端ICTラボ(LICTiA)、福島ロボットテストフィールド、オンライン(Zoom)

内 容
 13:30-13:35 開会あいさつ(会津大学 理事 岩瀬次郎)
 13:35-13:40 共催あいさつ(福島ロボットテストフィールド 副所長 若井洋)
 13:40-14:45 研究発表
  - 2022年度全体の成果について(会津大学 教授 成瀬継太郎)
  - 成果発表(東日本計算センター、アクアクルー、日本アドシス)
 14:45~14:55【10分休憩】
 14:55-15:25 デモ動画解説
  - アイザック、FSK、福島コンピューターシステム
15:25-15:30 閉会あいさつ(会津大学 プロジェクトマネージャ 屋代眞)

【視聴URL】
 Zoom https://tinyurl.com/2z7987wy

はじめに

会津大学 理事(産学連携担当)
岩瀬 次郎


皆さんこんにちは。
会津大学の産学連携を担当しております理事の岩瀬です。
会津大学のロボット事業は、浜通りの復興を目指すイノベーションコースト構想の一環として、2015年から開始されました。ステージ1の3年間では「ロボットソフトウェアの標準化」と「産学連携体制の構築」を行いました。ステージ2では「ロボットにおけるデータの活用」と「産学連携体制の拡充」を推進しました。
今期のステージ3は「先端ICT×ロボット」として会津大の持つデータベース、データ解析、通信、シミュレーションなど先端ICT技術によるロボット制御の高度化、ロボット同士が情報を共有するクラウドロボティクス、ロボットを通じて実世界とバーチャルの世界を一体化させるサイバーフィジカルシステムをメインテーマとしています。会津大学ロボットテストフィールド(RTF)研究センターでの、RTF施設を活用した実証研究も着実に進んでいます。昨年度には福島国際研究教育機構(F-REI)の先行研究として本学のクラウドロボティクスが採択されました。
人材育成では、「復興知事業」により浜通りでの高校生など若い方へのロボット技術やプログラミング研修も実施し、昨年度ではのべ250人近くの方々が受講されました。
開発者の育成と情報交換の場として、会津ロボットデュアルウェアコミュニティには15社、約200人の技術者に参加いただき、ロボットSWの開発コミュニティとしては日本最大です。学生のロボット関連活動への参加も約100人に及んでいます。先端ICTラボにあるソフトウェアライブラリふくしまに登録されたSW部品は145件に及び、これらは機能別に格納され、オープンソースとして無償でお使いいただけます。
当事業もステージ3の最終年度を迎えます。今回のロボットシンポジウムでは企業、自治体などの皆様との協業によるロボット事業の成果を紹介します。会津大学は、F-REIの発足などさらに活動の本格化するイノベーションコースト構想のロボット領域において、RTFも活用し、ICTによるロボット及びふくしまブランドのロボット開発を推進します。引き続き皆様のご支援、協業の程よろしくお願いいたします。ありがとうございます。


2022年度プロジェクト概要

プロジェクトリーダー
成瀬 継太郎 教授

【背景と目標】
従来のロボットシステムは図1の物理空間にある移動ロボットが1台からなるもので、単体ロボットが地図生成、経路計画、ナビゲーションをすべて行っていました。
しかしロボットの作業空間が大きくなり、また要求されるタスクが増えると、複数台のロボットが連携して動くことが望まれます。さらに他のロボットのセンサやオフィスの天井の監視カメラと連携することにより、単一のロボットでは観測できない広い状況の認識が可能になり、ロボットシステムがより効率的に動作することが可能になります。
私たちはオフィスロボットに限らず様々なロボットシステムで、複数のサブシステムを連携した大きなシステムを実現するためのシステム化の理論構築を行い、概念検証実験を通じてその検証をしています。

図1:目標:仮想=物理システムによる知識の生成

【2022年度の成果】
上の目標に対して私たちは2022年度に図2に示される研究開発を行いました。
応用分野は3つあり、(A)オフィスロボット(B)災害対応ロボット(C)遠隔IoRTシステムです。

図2:研究目標項目:データ中心な仮想=物理分散ロボットシステム

(A)オフィスロボット
オフィスロボットでの大きな課題は環境の変化です。オフィスには人がいますがロボットにとっては動的障害物です。またオフィスでは椅子や机の位置がときどき変化したり、荷物運びの台車があったりしますが、ロボットには移動可能だが長い時間同じ場所に留まる準静的な障害物になってしまいます.これらは場合によっては地図の作り直しが必要になりますが、従来の手法ではシステムを停止する必要があります。
私たちのシステムでは移動ロボット・経路計画・監視カメラシステムが連携しデータを共有しすることによって、システムを停止することなく環境に変化に追従することを目指しています。さらにロボットシミュレータと連携することにより、仮想空間内で地図を生成することにも取り組んでいます。2022年度は各サブシステムの開発を行いました。2023年度は各サブシステムを連携し、全体システムとして概念検証実験を行う予定です。

(B)災害対応ロボット
2022年度 会津ロボットデュアルウェア研究会 災害対応ロボットでは、2022年度はロボットが送り出す関節角度データや速度データを受け取り、それを仮想空間のロボット姿勢ビジュアライザで表示する機能を開発しました。2023年度はロボットが現実空間で取得した環境情報をオンライン・リアルタイムでビジュアライザで表示できるようにし、遠隔操作のためのインターフェスとして使えるようにする予定です。

(C)遠隔IoRTシステム
2022年度 会津ロボットデュアルウェア研究会 遠隔IoRTシステムは、20~30km離れた場所に制御盤の点検を遠隔から行えるようにする取り組みです。点検作業そのものはボタンを押しらたランプが灯るかを確認するといった簡単な内容ですが、そのために実際に点検員が現地に行って作業をするのは大変です。そこで遠隔地の制御盤に簡単なロボットデバイスを設置し、ボタンを押す・ランプの明滅の確認をインターネット経由で操作・観測できるようにするシステムです。2022年度は実際に遠隔地にIoRTシステムを接地し概念検証実験を行いました。2023年度はシステムを開発を進め、実証試験を行うことを目指しています。


産学連携研究報告【各教員・研究員別テーマ】

渡部 有隆 上級准教授
キーワード:サービスロボット、経路計画
 「Enhanced Path Planning Method for Autonomous Service Robot」 PDF

矢口 勇一 上級准教授
キーワード:運行管理、セキュリティ、
  「UAS/UAM運行に関する紛争解決の全体構想」 PDF

山田 竜平 准教授
キーワード:自律移動、地図生成、ナビゲーション
 「極限環境へ適用可能なロボット技術研究 2022」 PDF

Akila Siriweera 研究員
キーワード:WEB 3.0、スマートシティ、分散型スマートマニュファクチャリング、クラウドロボティクス、IoE、IIoT、IoT、Industry 4.0、 Society 5.0
 「Model-driven Web3-based Federated-Crosschain for Distributed Smart Manufacturing」 PDF
 

Isuru Jayarathne 研究員
キーワード:自動化、並列制御の開発
 「Development of Parallel Tether Control System」 PDF
 「Adaptive Self‑maintenance Agricultural Robotic Systems for Cultivation on Mars」 PDF

 

産学連携プロジェクト報告【各企業別テーマ】

株式会社アイザック
キーワード:自律制御、遠隔操作、災害対応ロボット、クローラロボット

 「第8回会津大学ロボットシンポジウム研究発表」PDFスライド動画(会津大学YouTube)

株式会社東日本計算センター
キーワード:RDR(ロボットデータリポジトリ)、物体認識システム、マルチ監視カメラシステム、地図マネージャ

 「第8回会津大学ロボットシンポジウム研究発表」PDFスライド動画(会津大学YouTube)

株式会社FSK
キーワード:シミュレーション、自律移動、地図生成、ナビゲーション、RDR(ロボットデータリポジトリ)

 「シミュレーションを活用したサイバーフィジカルシステムの研究・開発」PDF研究デモ動画(会津大学YouTube)

株式会社日本アドシス
キーワード:経路計画、自律移動、ナビゲーション、複数ロボット、シミュレーション

 「複数の自律移動ロボットによるナビゲーションに関する研究」PDFスライド動画(会津大学YouTube)

アクアクルー株式会社
キーワード:監視システム、遠隔操作、自律システム、遠隔IoRTシステム

 「動力盤システム遠隔監視・操作用IoRTシステム研究開発」PDFスライド動画(会津大学YouTube)

福島コンピューターシステム株式会社
キーワード:シミュレーション、RDR(ロボットデータリポジトリ)

 「ロボット連携シミュレーション技術調査」PDF研究デモ動画(会津大学YouTube)


復興知事業 報告

会津大学ロボットクラスターでは、上記「産学連携ロボット研究開発支援事業」の他、2018年度から(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構の補助事業「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」(=復興知事業)により、南相馬市などとの連携を図りながら、若手のロボット・ICT人材育成に取り組んできた。
実際には、Pythonなどの言語を使用したプログラミングの演習や実際のロボットを操縦する操作訓練などの講習会をメインに、地元企業やベンチャー企業の見学なども行っている。
同時に浜通りの研究機関とも協力して、南相馬を基盤としたコミュニティをつくり、復興を超えて福島県の未来を創り出すことを目指している。

◎2022年度の復興知事業 まとめはこちら https://rtc-fukushima.jp/column/6370/

 

 

 

 


2022年度まとめ

プロジェクトリーダー
屋代 眞

福島県から支援を受けて実施している会津大学の産学連携でのロボット研究開発事業は2022年度で通算8年を迎えた。当初災害対応ロボットの制御の高度化や知能化を目指してソフトウェアの標準化を中心に行ってきた事業は、インターネットを通じたクラウドとロボットとが連携した制御、知能化、自律化等の技術に発展し、さらに情報工学視点のロボット技術(Cloud RoboticsとDual-Space Robotics)やロボット技術を通じたICTと実世界の融合であるICrT技術(Information, Communication, and Robotics Technology)として複数ロボットの制御、知能化、自律化、3次元空間での移動技術の研究開発に発展してきている。この事業を進めるに当たっての母体となるコミュニティARDuC(Aizu Robotics Dual-ware Community)には現在15の企業等が参加し、本事業を進めるとともに産業や人材の育成を行っている。今回2022年度の研究成果報告に参加している企業間ではこのような技術の開発や実証のための企業間連携も進んでおり、多様な技術を必要とするロボットの製品やサービスを展開するためのモデルになるものと期待している。2023年度は9年目の節目を迎え参加企業とともに実用への展開を検討しながら研究開発を進めている。


 

ARDuC(会津ロボットデュアルウェア研究会)について

 2015年「RTC開発者全体会議」と称した、プロジェクトに関連する企業との情報交換会を開始した。2016年には、「RTCライブラリふくしま研究会」へと改称し、各プロジェクトの成果報告のほか視察会、講師を招聘しての勉強会などを毎月開催している。 現在は、名称を「会津ロボットデュアルウェア研究会(ARDuC=アーダック)」とし、協力企業13社と国立研究開発法人産業技術総合研究所を含めた15団体の合計59名(2022年4月現在)が所属しています。
 【企業・団体】
株式会社アイザック、株式会社会津ラボ、株式会社東日本計算センター、株式会社NTTデータNJK、株式会社FSK、ネットワンシステムズ株式会社、株式会社日本アドシス、アクアクルー株式会社、株式会社メカテック、TIS株式会社、福島コンピューターシステム株式会社、株式会社GClue、株式会社コレオノイド、株式会社クフウシヤ、国立研究開発法人産業技術総合研究所、公立大学法人会津大学